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2007年06月02日

社会保険制度の知識

 ※このページは、社会保険労務士 石川哲也先生にお願いしています。

 (石川先生プロフィールはこのページの最後に紹介させていただいています。)



◆会社設立など起業、開業したら知っておくべき社会保険制度の知識


 独立開業して一国一城の主となった今、社会保険制度を知らないでは済まされません。

 自分自身や家族の年金、病気や怪我に対する医療保障、従業員を雇い入れた際の社会保険加入の手続き、保険料負担の知識、まずは概要を掴んでおくことが重要です。



1. 社会保険制度の4本柱



 ・医療・・・・・病気やケガに対する医療保障


 ・年金・・・・・老齢、障害、遺族に対する所得保障


 ・雇用保険・・・失業等に対するセーフティネット


 ・労災保険・・・業務上又は通勤による災害補償


2-1. 健康保険とは?

 サラリーマンをとその家族を対象とした医療保険制度です。法人の事業所は強制適用とされ法的に加入が義務つけられています。

 但し、業務上の災害は対象となりません。


●疾病及び負傷に対する給付

 ・療養の給付・・・原則として治療費の3割を負担すれば治療が受けられます。

 ・入院時食事療養費・・・入院の際の食事の提供について一部補助されます。

 ・特定療養費・・・高度先進医療を受けた際に一部補助されます。

 ・療養費・・・・・実費で治療を受けた後、7割相当が返還されます。

 ・家族療養費・・・家族も、「療養の給付」「入院時食事療養費」「特定療養費」「療養費」相当を受けることができます。

 ・(家族)訪問看護療養費・・・在宅療養中に看護師等による訪問看護を受けられます。

 ・(家族)移送費・・医師の指示で移送された際の費用について現金給付されます。

 ・高額療養費・・・本人の負担が高額となった際に、一部償還されます。

 ・傷病手当金・・・療養のために労務不能となった際に4日目から標準報酬日額の6割相当が最長1年6ヵ月支給されます。



●死亡に対する給付

 ・埋葬料(埋葬費)・本人又は、家族が死亡した際に、標準報酬月額相当額(本人死亡の場合)が支給されます。


●出産に対する給付

 ・(家族)出産育児一時金・・・1児につき30万円

 ・出産手当金・・・出産のために労務に服さなかった際に一定期間、標準報酬日額の6割相当が支給されます。


2-2. 厚生年金とは?


 サラリーマンを対象とした年金保険制度です。国民年金の2階部分として基礎年金とセットで支給を受けることもできます。

 また、配偶者が専業主婦(主夫)の場合には、3号被保険者として保険料は徴収されません。

 ・老齢厚生年金・・・原則65歳から国民年金の2階部分として支給されます。

 ・障害厚生年金及び障害手当金・・・障害の程度によって年金または一時金として支給されます。

 ・遺族厚生年金・・・残された遺族に老齢厚生年金の4分の3相当額が支給されます。



※それぞれ細かい要件が規定されていますが、ここでは、一般的な概念についての説明にとどめています。


3-1. 雇用保険とは?

 サラリーマンが失業した場合、雇用の継続が困難となる事由が生じた場合、職業に関する教育訓練を受けた場合に必要な給付を受けることができます。

●主な給付

 ・求職者給付・・・失業した場合に一定期間手当てが支給されます。

 ・就職促進給付・・早期に再就職できるような支援を行います。

 ・雇用継続給付・・高齢により賃金が低下した場合、育児、介護により休業した場合に一定期間手当てが支給されます。

 ・教育訓練給付・・職業に関する教育訓練を受けた場合に一定の手当てが支給されます。

※雇用保険料は、助成金の資金源にもなっており、加入及び保険料の納付実績により助成金の適否が判定されることがあります。


3-2. 労災保険とは?


 サラリーマンが業務上又は通勤により負傷、疾病、障害又は死亡した際に必要な給付を受けることができます。

※業務上の災害は、その事業主が全責任を負うという労働基準法の規定を受けて作られた制度です。そのため、労災保険料は、全額を事業主が負担しなければなりません。

●主な給付

 ・療養(補償)給付・・・病院等で治療を受けられること

 ・休業(補償)給付・・・休業期間中の4日目から、給付基礎日額の8割(休業特別支給金含む)相当額支給されます。

 ・傷病(補償)年金・・・休業が長期化した場合で一定の条件により休業(補償)給付に代えて年金で支給されます。

 ・障害(補償)給付・・・障害の程度に応じて年金又は一時金として支給されます。

 ・遺族(補償)給付・・・死亡した場合に年金又は一時金で遺族に支給されます。

 ・葬祭料(葬祭給付)・・葬祭を行う者に、原則として賃金の1ヵ月分相当+315,000円が支給されます。



4. 保険料について

 事業計画を立てる際に、社会保険料を人件費に含めておかなければなりません。

 同時に、従業員を雇い入れる際にも、十分注意が必要です。

※健康保険と厚生年金では、毎月変動する賃金を標準報酬表にあてはめて、変動していないかのように取り扱って保険料を計算しています。ここでは、概算の保険料を掴むために保険料率で説明していきます。(賃金総額に保険料率を乗じます)


















































      保険料合計 事業主負担分 本人負担 納付の時期
健康保険 8.2% 4.1% 4.1% 翌月末日
介護保険 1.23% 0.615% 0.615%
厚生年金 14.288% 7.144% 7.144%
雇用保険 1.95% 1.15% 0.8% 毎年5月20日までに1年分先払い翌年に差額修正

(40万円以上で分割納付可)
労災保険 0.45% 全額 不要
 合計  26.118% 13.459% 12.659%


※介護保険料・・・40歳以上65歳未満

※雇用保険料・・・農林水産2.15%、清酒製造2.15%、建設2.25%

※労災保険料・・・業務の種類により0.45%~11.8%

 例えば年収5,000,000円で雇い入れたとすると、約672,950円の社会保険料の負担を予定しなければなりません。


5. 事業形態別加入プラン



















































事業形態 対象者 医療 年金 雇用 労災
個人事業主のみ 本人 国民健康保険 国民年金 × ×
法人の役員のみ 代表者及び役員 健康保険 厚生年金 × ×
法人の事業で従業員を雇っている 役員 健康保険 厚生年金 × ×
正社員 健康保険 厚生年金 雇用保険 労災保険
パート

アルバイト
※健康保険 ※厚生年金 ※雇用保険 労災保険


※パート・アルバイトは、労働形態により加入条件が異なります。


6. まとめ


 法人を設立して事業を始めようとしているみなさん、自分ひとりだから社会保険なんかどうでもいいやと考えてはいけません。

 ・健康保険のメリット・・・家族が増えても保険料は増えません。国民健康保険には、人数により加算されます。

 ・厚生年金のメリット・・・年金額は、国民年金だけの人と比較して約2倍です。

 ・雇用保険のメリット・・・助成金の申請は、加入が条件です。わずかな保険料でたっぷり助成金をゲットしましょう。

 ・労災保険の必要性・・・・もしも、重大な労災事故が起きてしまったら、道義的責任、民事的な補償責任、刑事責任、事業主には重い責任が課せらます。従業員を雇ったら必ず手続きをしておきましょう。

 社会保険関係手続きは、管轄の役所もバラバラで良く判らないのは事実です。

 しかし、労務管理上の問題、安全衛生上の問題、福利厚生の問題からも避けて通ることはできません。社員教育も含めて頑丈な体力のある企業に発展させるためにも法令に従い手続きをしておきましょう。

 そういった姿勢が、会社内外に伝わっていくものです。

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【石川哲也 先生】

社会保険労務士、行政書士

日本ファイナンシャルプランナーズ協会会員 AFP

〒483-8082 愛知県江南市高屋町本郷145

電 話:050-1378-6496

FAX:0587-53-6159

E-Mail:office_iskw@ybb.ne.jp

投稿者 yonezu : 2007年06月02日 00:32

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